WordPressとは? これからWordPressを始めようと考えているひとのための事前知識
Basic
近年、爆発的に普及したWordPress。世界中たくさんのWebサイトがWordPressで作られています。
でも、初心者の方たちの中には、「WordPressって何ができるの?」「WordPressって難しい?」などのような疑問を持っている方も多いと思います。
このサイト「The WordPress Press」は、WordPressをほかのどのサイトよりもわかりやすく説明する目的で作成しました。第一回目の記事はその導入として、「WordPressって何?」をテーマに、様々な疑問を解消していきたいと思います!
WordPressとは

WordPressとは、もともとブログ作成ソフトウェアとして誕生しました。昔は、ブログと言えば「はてなブログ」や「アメーバブログ」など、外部のサービスを使うのが一般的でしたが、WordPressの登場で、個人でブログサイトを作ることができるようになりました!
誕生の経緯通り、WordPressにはブログを作成するための多様な機能がそろっています。

例えば、上の図はブログの記事を書いている画面です。ほかのブログサービスと同じように、HTMLなどの知識がなくても、ブラウザ上のエディターを通してコンテンツのアップデートを行うことができます。文字だけでなく、画像やYouTubeの動画埋め込みなど、多くのことをエディタ上で行うことができます。
また、ブログに必要なパーツである「人気記事リスト」や「カテゴリ一覧表示」などの機能も、管理画面から直観的に行うことができます。とても便利ですね!
CMS
ブラウザ上でウェブサイトの更新やマネジメントを行うことができる機能を総称して、CMS(Contents Management System)と呼びます。WordPressが普及したのは、このCMSが優れているということも一つの要因です。
ブログだけじゃないWordPress
WordPressで作成できるのは、ブログサイトだけではありません。今となっては、ありとあらゆるウェブサイトを構築することができます。
- コーポレートサイト
- ポートフォリオサイト
- 会員制サイト
- ショッピングサイト
例えば、海外で有名なニュースサイト、QuartzもWordPressで作られています。

日本では、クックパッドや価格ドットコムの企業サイトがWordPressを採用している事実が例としてよく採り上げられます。

AwwwardsというサイトのWordPressカテゴリには、WordPressで作成されたクォリティの高いウェブサイトが集められていますので、ぜひ見てみてください。
さて、ブログ作成ソフトウェアが、ブログ以外のサイトにも使われるようになったのはなぜでしょうか。先ほど出てきたCMSも一つの要因ですが、そのほかにもいくつかの理由があります。
サイトの見た目・機能を簡単に変えられる「テーマ」
WordPressが持つ強みの一つが、この「テーマ」です。テーマは大きく分けると、次の2つの機能を持っています。
- 外観の変更
- 機能の変更
WordPress公式のテーマダウンロードサイトを訪れてみましょう。

ここでは様々なテーマが無料で配布されています。ざっと眺めるとわかりますが、ブログのためのテーマ以外にも、Eコマース(ショッピング)サイトのテーマだったり、ポートフォリオ作成用のテーマだったりと、いろんな種類が提供されています(「特徴で絞り込む」を押すと、どんな種類のテーマが配信されているかがわかります)。
このように、WordPressのテーマは、単なる見た目を変えるだけでなく、サイトそのものの機能まで提供されるのが特徴です。
目的に合わせてテーマを選べば、デザイン・機能ともに、簡単にWebサイトを構築することができます。
また、公式サイト以外でも、有償・無償ともに世界中のひとがテーマを提供していますので、検索して探してみてください。海外では、Envato Marketが有名です。
海外の人が配布しているテーマは、当然日本語の文字組を意識していませんので、使用する場合は少しカスタマイズする必要があります。日本でも配布サイトはありますが、数はそれほど多くありません。
機能を拡充する「プラグイン」
WordPressが持つもう一つの強みが、この「プラグイン」です。プラグインとは、WordPressに様々な機能を追加するための仕組みで、管理画面で簡単に追加することができます。ChromeやFirefoxの拡張機能と同じような概念です。

世界中の人が日々たくさんのプラグインを作成、配布していますので、サイトに必要な機能はほぼプラグインで実現することができます。
- Webサイトへの機能追加
- 管理画面への機能追加
- WordPressの最適化
プラグインの種類も豊富で、ひと昔前まではエンジニアの力なしには実現できなかったような機能も、WordPressなら容易に実現が可能です。たとえば
- 支払いシステムの設置
- SEO対策
- お問い合わせフォームの追加
- Webサイト高速化設定
などなど、個人で作るにはハードルの高い機能も、ほとんどの場合無料で利用することができます。素晴らしいですね!
もちろん有料のプラグインもありますし、無料では機能が制限されるプラグインもありますが、たいていの場合無料のプラグインで十分事足ります。
WordPressのデメリット
万能に見えるWordPressにも、いくつかデメリットがあります。
お金がかかる
WordPressは、phpとMySQLがサポートされているサーバでないと動作しません。いきなり難しい言葉が出てきましたね……。ここでは詳細を説明しませんが、この2つが動作するサーバをレンタルする必要があるので、単なる無料のレンタルサーバでは使えないということさえわかれば問題ありません。
WordPressをサポートしているレンタルサーバには、次のようなものがあります。
価格はサーバの性能によって異なりますが、月額数百円から千円程度のコストがかかります。ちなみに、このサイトはエックスサーバを利用しています。
サーバコストだけでなく、もしオリジナルのドメインを取得しようと思ったら、そのコストも必要です。ドメインとは、たとえばabc.comとか、xyz.netなどのように、自分のサイト専用のアドレスのようなものです。
ドメインは名前によって価格が異なりますが、.comや.jpなどのような有名なドメインを取得しようと思ったら、それなりにお金を払う必要があります。たとえば、このサイトのthewppress.comというドメインを3年契約した場合、4,000円くらい支払うことになります。3年間で4,000円なので、びっくりするほど高いわけではありません。
phpをある程度書く必要がある

phpを全く書かなくてもWebサイトを構築することは可能ですが、独自の機能を追加したり、カスタマイズしたりしたくなった場合は、phpの記述を避けられません。
phpとは、簡単に言うとサーバで動作するプログラミング言語のことです。
もちろん、HTMLやCSSの知識も(当たり前のように)必要になります。
ただ、WordPressに関する解説サイトは多いので、それほど怖がる必要はありません。
Webサイトが重くなる
WordPressは、通常のWebサイトと異なり、サーバで処理する時間がかかります。このため、機能を充実させればさせるほどサイト自体が重くなる傾向にあります。
特に、機能拡張のためにプラグインをどんどん追加していくと、激重のサイトが出来上がってしまいます 笑 これは初心者が作成したWordPressサイトに起こりがちな現象です(ぼくが最初に作成したサイトはまさにこんな感じでした)。
ただし、使うプラグインをきちんと選び、かつWordPressを最適化すれば重いサイトにならずに済みますので、大丈夫です。
ローカル環境にコンテンツが残らない
WordPressでは、CMSを使ってサーバ上のコンテンツを直接更新します。ローカル(自分のPC)で作成したファイルをアップロードして更新するサイトとは異なり、コンテンツはサーバ上に保存され、ローカルにはデータがありません。
従って、何かしらのアクシデントでサーバのデータがすべて消えてしまった場合や、サーバにログインできなくなってしまった場合、コンテンツを取り戻すことができなくなります。
滅多に起こる出来事ではありませんし、きちんとしたレンタルサーバはバックアップを取っていますので、あまり神経質になる必要はありません。ただ、万一に備えて、自分でバックアップを取るひとは多いですね。
ちなみに、バックアップを簡単に作成できるプラグインも存在します。
セキュリティ
WordPressはすべてのソースコードが公開されているため、セキュリティの観点からは鉄壁とはいえません。WordPress自体セキュリティ対策はされていますが、個人情報や機密情報を扱うサイトを作る上では注意が必要です。
WordPressを使うべきかどうかの判断
WordPressを使えば、ほぼどのようなサイトでも作成することができます。しかし、なんでもかんでもWordPressで作ればいいというものでもありません。これは、どのように判断したらよいのでしょうか。
ある程度のコストを許容できるかどうか
デメリットで紹介した通り、WordPressを利用してサイトを公開するには、ある程度のコストがかかります。
これを許容できるかどうかが、まず第一の判断基準と言えるでしょう。
頻繁に更新するかどうか
WordPressの特徴であるCMSはサイトの更新を容易にします。ところが、サイトを作成し、公開した後にほとんど更新を行わないようなサイトの場合、CMSは威力を発揮しません。
たとえば、新商品を1ページで紹介するランディングサイトの場合は、頻繁にコンテンツを追加することはありませんので、WordPressの恩恵を享受することはほとんどないといえるでしょう。
サイト構造が複雑かどうか
サイトの構造が複雑な場合、すべてのページをHTMLで作成するのは骨が折れる作業です。WordPressは似たようなページを使いまわすことができるので、ページ数が多いサイトを作るのに適しています。
また、ナビゲーションメニューを設置したり、お知らせ一覧を表示したりするなど、細かい機能がたくさん必要な場合も、WordPressはその力を発揮します。ゆえに、例えば企業サイトを作る場合は、普通に作るよりもWordPressを使った方が効率が良いといえます。
逆にページが2~3ページしかなく、構成もシンプルならば、普通にHTMLで書いた方がよいでしょう。
本当にオリジナルのブログを作るべきかどうか
WordPressを使えば、簡単にブログを作ることができますが、単にブログを作るだけなら、外部サービスを利用する方がはるかに楽で簡単です。
最近のブログサービスは外観もかなり詳細にカスタマイズできますし、必要な機能はあらかじめ一通り準備されています。また、アクセス数も既存のサービスを使った方が、最初は多くなります。これは、オリジナルドメインのランクが高いこと、専用のコミュニティがあることなどの要因によります(この理由が理解できなくてもかまいません)。
WordPressはSEO対策に適していると言われていますが、新規で立ち上げるサイトへのアクセス数はほぼゼロです。従って、自らがアクセス数を稼ぐ施策を行わない限り、ユーザは集まってきません。もちろん、ちゃんとSEO対策をして、記事を更新していればアクセス数を上昇させることができます。
WordPressで自分のブログを立ち上げるのは、かなり自己満足の領域に入ってきます。
- 自分独自のブログを持ちたい
- 自由自在にカスタマイズしたい
その他大勢ではなく、「個性」にこだわりがあるひとは、WordPressを手に取りましょう。
WordPressでサイトを作るのは難しい? どれくらいかかる?
WordPressが難しいかどうかは、やりたいことに依存します。おおむね、以下の順に難易度が高くなっていきます。
- テーマを適用したり、プラグインを使ってサイトを作る
- テーマをテーマカスタマイザーやウィジットでカスタマイズする
- テーマをコードでカスタマイズする
- 自分でテーマを作る
- 自分で管理画面をカスタマイズする
- 自分でプラグインやウィジットを作成する
難易度が上がるとはいえ、独自のテーマを作成することは誰もがやっていることです。挑戦してできないレベルの難易度ではありません。ただし、HTMLやCSSの知識がない場合は、2番までが限界です。ここまででもそれなりのサイトを作ることができます。
テーマカスタマイザーとは、テーマの一部、たとえばヘッダー画像や横幅などを管理画面から簡単に変更できる機能です。ただし、テーマカスタマイザーに対応しているテーマを選ぶ必要がありますし、あらかじめ用意されている機能以外を変更することはできません。
また、ウィジットとは機能を持った小さな部品のようなもので、テーマがサポートしていれば、組み替えたり削除したりすることができます。
WordPressを使うなら、ぜひ4番の独自テーマ作成を目指してください。HTMLやCSSの知識があっても、使いたてのころはかなりの時間がかかってしまいます。1日中WordPressと向き合うのでない限り、2週間とか3週間くらいは見ておいたほうがいいでしょう。
慣れてくると、ブログサイトや簡単なコーポレートサイトなら2~3日で作ることができます。
WordPressに慣れるまで
ぼくがWordPressを自在に使いこなすまでに要した年月は2年程度、作ったサイトは5つ(サンプル除く)、作ったプラグインは20くらいです。仕事があるので結構時間がかかりましたが、WordPressだけに集中できるのならもっと早く習得できると思います。WordPressはサイトをひたすら作るより、プラグインも併せて作るほうが理解が深まります。
WordPressのライセンス

WordPressはGPLライセンスで配布されているため、個人利用、商用問わず、改変、再配布などを自由に行うことができます。
反面、有償サービスと異なり、手厚いサポートや保証などを受けることはできません(WordPressをサポートしてくれる有料のサービスは存在します)。
おわりに
WordPressとは何なのか、大体お分かりいただけたでしょうか。最後にザックリとポイントをまとめておきたいと思います!
- WordPressを使えば、簡単に様々なWebサイトを作成できる
- CMSを使って、ブラウザ上でコンテンツの更新が行える
- テーマを使って、見た目・機能両方とも簡単に変更できる
- プラグインを使って、足りない機能を追加したり、拡張したりできる
- WordPressを動かすには、phpとMySQLが動作するサーバが必要
- 深くカスタマイズするには、HTML/CSSのほか、phpも書かなければならない
- WordPressを使うなら、独自テーマの作成を目指したい
- WordPressは、個人・商用問わず、自由に使うことができる
今回は概念的な話ばかりでしたが、次回は早速WordPressが使える環境を整えていきたいと思います。
つづけて読む
この記事には続きがあります。
ぜひ合わせて読んでみてください!
 
 
Comment